臨床心理士・高島 進    のブログ

臨床心理士である高島 進が、気付いたこと・発見したこと・学んだことなどを記します。必要な人に必要なタイミングで届きますように。

「前提」に気が付くということ

A「おはよう!」

B「おはよう。朝は何食べるの?」

 

私たちは普段、何気ない会話をしています。
しかし、ちょっとした会話の中にも、情報はたくさん詰まっています。

 

冒頭で唐突に出したAとBの会話です。
たったこれだけの言葉のキャッチボールを見るだけで

 

・AさんとBさんは朝に挨拶をする文化圏の人物である。

・Bさんにとって朝食をとるということは当たり前のことである。

 

割としっかりとした情報が隠れていることに気が付きますね。
そしてここから、Bさんは朝食を食べることに対し疑う余地もなさそうな香りがしてまいります。

 

ここに関して、Aさんが「パン」とか答えるとする。
これはBさんの朝食を食べるという前提に乗っかった形となります。
Aさんも朝食を必ず食べる人なのであれば、この会話は引っかかりなく終わっていきます。

 

しかし、ちょっと考えてみて下さい。
世の中には朝食を食べる習慣がない人だっているはず。

 

そうなってくると

A「え?朝は食べないよ。」

B「朝ごはん食べないで大丈夫なの?」

 

とこうなります。雲行きが怪しくなってまいりました。

 

Aさんは「朝は食べない」という常識
Bさんは「朝食を摂る」という常識

 

常識と常識が衝突するわけです。

 

上でお話したことは朝食のことですが、これが仕事での話や集団生活での場面などに起こると、「普通、これって言ったらこうやってするもんじゃないの!?」
とか、よくケンカになっている人がいるのをイメージすることも容易ではないでしょうか。

 

そういうトラブルが、最も歩み寄りがたく、こじれてしまいます。

ではそれを回避するためにはどうすればいいのか?

 

心理学の基本的なルールというか、原則ですが

「過去と他人は変えられない」

 

この原則にのっとると、

「自分の前提としているものに気が付くこと」

この一手が手っ取り早そうです。

 

そこに気が付くためのポイントとしては

・無批判ーノージャッジメント

が重要となってきます。

 

これは、自分が思ったり発言したことに対して、

良いとか悪いとかの評価をしない、判断しない

ということです。

 

例えば、「男たるもの涙は見せてはいけない!」

って思う場面があったなら、

 

「男たるもの涙は見せてはいけない!」って自分思ってるわ~

 

「」って思ってるわ~

とちょっと自分の気持ちと距離を置くことで、「」の中の信念や価値観を持っている自分に気が付くはず。

 

そんなにすぐにはうまくはできないかもしれませんが、

ちょっとずつでもやっていくと、少しだけ、何かから解放されるような

そんな感覚が味わっていただけるかと思います。

 

それほど前提は強力なものだということですね。
私も自分の前提に気が付いて、より楽に、いい感じになっていきたいですね!