臨床心理士・高島 進    のブログ

臨床心理士である高島 進が、気付いたこと・発見したこと・学んだことなどを記します。必要な人に必要なタイミングで届きますように。

誰のせい?何かのせい?

1800年代、フロイトが無意識を発見して以来、心理療法の世界では「現象には何か原因がある」という考えの元、心理的アプローチがなされてきました。

 

Aが起こるのはBがあるからだ!

 

これを直線的因果律といいます。

 

しかし近年、家族療法から発展したシステムズアプローチによる心理的アプローチが注目されているように思います。

 

システムズアプローチ、家族療法とは、問題を提している個人(IP)を取り巻く、周囲(家族)との人間関係に注目、介入し、その関係性(システム)を変えることにより、IPの問題が消失する、という考えのもと行われるアプローチのことです。(家族療法 - Wikipedia)

 

システムズアプローチは、私がよく聞くのは、不登校のお子様がいるご家庭の問題解決のために用いられることが多い印象です。

 

今回取り上げたいシステムズアプローチの大きな特徴は

「悪者を作らない」

ことにあります。

 

Aが起こるのは、特定の原因があるわけではなく、周囲との相互作用によるものだ

 

これを円環的因果律といいます。

 

つまり、問題が発生する要因は、なにか一つのできごとや人物などによるものではなく、IPの周囲の関係性が複雑に絡み合って発生していると、そう考えるわけです。

 

離婚の危機に瀕している家庭にいる喘息の子どもが、両親の和解によって喘息が治る、というのが有名(?)なたとえ話なのですが、特に本人に介入するわけではなく、その周囲の関係性に介入することにより、問題としているものが消失する。

 

これは非常に重要なことで、逆に言えば

「周囲の関係性が複雑にこじれてしまっていることで問題が発生する」

ということになります。

 

それら一つ一つの拗れや捻じれを解きほぐして行くことは、問題解決にとってとても重要なことのように思えます。

 

近年、いじめやら事件やらが発生したときに、まず原因探しが始まります。
けどそれって、言い換えてみたら悪者探しなんですよね?

 

確かに原因探しが必要なこともあります。しかし、それ一辺倒にしても、解決しない問題はやっぱり解決しないんですね。

 

絡まっている要素を解きほぐしていくこと。

 

そうすると、今まで見えてこなかった方法が見えてくるかもしれませんね!