臨床心理士・高島 進    のブログ

臨床心理士である高島 進が、気付いたこと・発見したこと・学んだことなどを記します。必要な人に必要なタイミングで届きますように。

場面と仮面

あなたはどのような人でしょうか?

就職活動などの自己紹介や自己PRなどでは必ずと言っていいほどよく見る質問です。

さて、このような質問にはどのようにお答えするとしましょう。

「私は太陽のように明るい人です」
「私は納豆のような粘り強い人間です」

 

なんだか就職活動の面接時の応答みたいですね(笑)
もちろん、自分をアピールすることが求められる場面で、上記のような返答はおおむね場面に沿った応答だといえるでしょう。

 

でも、太陽のように明るい人は、いつ何時、どこでであっても明るい人なのでしょうか?納豆のような粘り強い人は?

 

なんだか屁理屈を言うようですが、太陽のように明るい人も、悲しいことがあったら泣いたり暗くなったりするでしょう。納豆のような粘り強い人も、興味のないこと、する必要がないことにはさっぱりと対応するでしょう。

 

人間は、場面場面に応じてどういう立ち振る舞いをするのか、どういう雰囲気をかもしだすのか、などを変えていきます。

 

例えば家では厳格な父親、職場では腰の低い人、友達と食事をしているときは快活な人物、など場面によって、いわゆるキャラクターを変えているのですね。

 

このキャラクターを心理学の一部の分野では「ペルソナ」といいます。
ペルソナは仮面という意味も含んでおり、キャラクターを場面に応じて変えていくことは、「仮面を付け替える」という風に表現することもあります。

 

このペルソナは、付け替えて場に当たることが自然な状態なのですが、人間は不安定になると、最も安心できるペルソナにこだわり、それが外せない状態になってしまうことも起こり得ます。

 

そうなってしまうと、困ったことに、どこに行っても、だれと会っても、例えば真面目でないといけない、とかそういう事態が発生します。
それは非常にしんどい生き方になる可能性が高い。

 

そういう時は、ふと、今自分がかぶっている仮面はどんな仮面なのか、そして今この場面にふさわしい仮面なのか。

 

ほんのちょっと、自分を観察するように眺めてみれば、新しい何かに気付くことができるかも!?

増上慢にご用心

ちょっと前まで増上慢という言葉に対し、非常に関心がございました。

増上慢とは仏教用語ですが、

 ①〘仏〙七慢の一。まだ完全に悟りを開いていないのに、悟りを開いたと思っておごりたかぶること②実力もないのに自己を過信して思いあがること。

大辞林 第三版(2006)松村明 編 https://kotobank.jp/dictionary/daijirin/ 】 

 

私が用心したいと思っているのは②の方です。これはカウンセリング等の対人援助職で、かつ提供しているものが無形である場合に非常に起こりやすいように思います。

 

いわゆる「あなたが良くなったのは私の力のお陰だ」というやつ。

 

これのもっとも厄介なパターンは、無意識に作用してて、かつ自分のダメなところを隠そうとしている場合。

 

いわゆる心的補償として思いあがっている場合は、自覚するのが非常に難しい。

 

例えば、普段は明るく暮らしているつもりでも、根っこには根拠のない罪悪感とか自責感とか、そういったものを持ち続けていたとしましょう。

そういう類の人は、往々にして人を援助する行動を選びがちです。

 

なぜかというと、人を助けるとほとんどの場合「ありがとう」とお礼を言ってもらったり、場合によっては感謝されたりします。

そういってもらうことで、自分の罪悪感とか自責感の辛さがやわらいだり無くなったような感覚に陥ります。

 

けど、それは無くなったような気がするだけの話なので、またすぐに自分を責めだします。

 

結果、人を援助し続けるという選択をすることになっていくのですが、これがまたタバコとかギャンブルとかと同じような構造で、やればやるほど大きな成果を求めるようになってきてしまうんですね。

 

それは行き過ぎるとお節介になり、お節介なので断られるとか報われない結果に終わると

「もう!こんなに私が頑張ってるのに!みんなわかってない!!」

とか言い出すんですよね。

 

その難しいパターンをユング心理学ではメサイア・コンプレックスと呼びます。

 

その構造やポジションに気付かないことには、最後には自分一人が犠牲になるとか孤立化するという暗いストーリーが出来上がり、それをなぞることになってしまいます。

 

とはいえ、増上慢メサイア・コンプレックスも、勉強や実践を重ねるうちに、力は実際ついてくるので、そういったときには起こりがちな現象でもあります。

 

より早く気付き、自身を振り返ったのであれば、「あぁ、今成長している途中なんだなぁ」と受け取り直す。するとまた謙虚な振る舞いが戻ってきます。

 

たかが思い上がり、されど思い上がり。

 

そういった状態に気付いたのであれば、良くも悪くも自分の問題として、しっかり取り組む必要がありそうです。

 

増上慢にご用心!

 

ブログを始めまする〜

はじめまして!臨床心理士の高島と申します。

 

自分のふと思ったこととか、気付きとか、反省とか、感動とか。

そういった類の事の個人的メモの延長としてブログを書いていこうかなぁ、と思い、今その一歩を踏み出しました。

 

個人的メモの割には、やたら読者を意識した文体なのは、いずれ世間の皆様に公開できるような文章を書ければいいなぁ、と考えてるからなのですが…まぁ、ちょっとした厨二病ですね!はい!

 

今後とも格好付けさせていただきつつ、

そういう訳で、ブログ始めます。

よろしくお願いします!!